移住体感ツアーの5カ月後には親子3人で八幡浜へ—松田家の超高速移住
松田はるかさん(37歳) 咲人くん(9歳) あさなちゃん(4歳)
運命の出会い?心惹かれた海の風景
東京都出身の松田さんは、たまたま手にしたフリーペーパーの広告に目を奪われた。青い海とみかん畑の風景に「なんていいところなんだろう」と心を惹かれたのだ。それは、八幡浜市が初めてファミリー向けに開催した、限定2家族移住体感ツアーの募集だった。
特に移住を意識していたわけではなく「楽しそうだし、軽い気持ちで」応募した松田さん。
「応募メールには、八幡浜の海がとてもいいなと思ったこと、シングルマザーでも移住して生活できますか?など率直に書きました」
八幡浜市の移住担当は応募メールを読み、自身の状況に合わせた具体的な質問内容に松田さんの熱意を感じ、ぜひ八幡浜を見てもらいたいと思ったそうだ。
光と風と緑あふれる日土小学校に通わせたい
2019年10月に行われた1泊2日の“やわたはま暮らし体感ツアー”。初日は教育環境を中心に見る行程で、喜木川沿いに建つ日土小学校を見学した。
日土小学校は、現役の小学校でありながら国の重要文化財に登録されている。川にテラスがせりだした斬新なデザイン、採光や風の通り道を考えた開放感のある木造校舎。松田さんは「こんな学校見たことない、ここに子どもを通わせたい」と思ったという。
地元の秋祭りの見学や移住者たちとの交流会、2日目はみかん収穫体験やじゃこ天&ちくわ作り体験などに夢中になった。盛りだくさんのツアーを終える頃には、「ここに住みたいね」とすっかり親子で盛り上がったそう。
「海、虫、魚に触れ、自然が大好きな息子が気に入ったことが決め手でした。母親だけが気に入っても移住はしなかった」
家族で移住を決心したが、もともと移住を深く考えていたわけでもなく、四国に来たのも初めてだ。まずは住むところをと、空き家バンクで日土小学校区を探したが、物件がない。すると、市の担当者がたまたまその地区で空き家を持っている人物とツテがあり、熱心に繋いでくれた。「ここまで親身になってくださる」と松田さんは心をうたれたという。
翌年2月に大家さんと会い、4月に一家は八幡浜へやってきた。移住体感ツアーからわずか5カ月後のことである。
温かい人の縁がつながっていく
移住した頃は、ちょうど新型コロナウイルスの感染拡大防止のため小学校は休校中。2週間程度の外出自粛の後、松田さんもまだ仕事を決めていなかったので、市内近辺を車で見て周った。「親子でいい時間が過ごせた」という。仕事に関しては、働き手世代が少ないこともあり「表に出ている求人以上に、潜在的な需要がある」(八幡浜市移住担当)という。7月からは松田さんも八幡浜市の会計年度任用職員として働いている。
釣りも八幡浜で初めて経験した。釣具店のアドバイスで道具を揃え、家族で近くの港に行って釣りを楽しむ日々。人なつっこい子どもたちは、釣り人たちに竿の投げ方から教わった。魚の名前もたくさん覚えた。
住居は2階建ての一軒家。部屋が8つもあり、コロナ禍が過ぎ、東京の友人が遊びにきた時には泊まれる部屋も準備しているとか。
「地方は、いろんな面で地区ごとにルールが異なります。行事、神社の祭礼、水道・ガスなど公共インフラもそれぞれ違う。最初は戸惑いましたが、聞くと皆さん親切丁寧に教えてくださいます」地区内の移住者は松田家だけで、珍しい存在だとか。けれど、自家栽培の野菜を持ってきてくれたり、無職のときには仕事を紹介してくれたりもした。「皆さん、本当にやさしくて、こんな田舎によく来てくれたねと言われます」近所の人たちのウェルカム感に驚いたという。
「移住について深く考えていたわけではなく、自分の直感を信じて移り住みました。勢いは大事ですが、それは最初に市の移住担当の方々と信頼関係を築けたからだと思います。その後、ご縁がどんどんとつながっていったのも、市役所の方々のおかげかな」
ツアーには9組もの応募があったそうで、「ここに今いるのは運命だったのかな」と松田さんはしみじみ語る。
松田ファミリーはとてもフレンドリー。今日も釣り竿片手に海へと向かい、いろんな人と交流しているのかもしれない。
気になる移住のホンネ教えて
Q1 八幡浜のどのような所が気に入りましたか?
海や自然に恵まれたところでも、観光地化されているところは落ち着きません。その点、八幡浜は、きれいな海・山があるけど、観光客がそれほどいない“ちょうど良いいなか”です。
仕事の求人が多いのもいいですね。関東にある似た環境の町を調べてみましたが、仕事はなさそうでした。
Q2 移住して良かったこと、困ったことは?
海が近く、人が温かいことです。子どもは釣りができることが気に入っています。買い物も不便はありません。困ったことは、山際に住んでいるので、家にムカデがでること。でも最近は対処方法を覚えました。
Q3 移住を考えている人にアドバイスを
移住は全て自分の希望条件にあうものはないと思いますが、何か気に入ったことがあれば思いきって飛び込んでみるのもいいと思います。ただ、小さな子どもも含め、家族で話し合うことは大事です。私も、子どもが反対したら、いくら八幡浜が気に入っても移住しなかったと思います。
松田はるかさん(37歳) 咲人くん(9歳) あさなちゃん(4歳)
移住スタイル | Iターン |
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移住時の年齢 | 30代 |
家族構成 | 母と子ども |
八幡浜市移住担当者からひと言
八幡浜では、ご要望に合わせて市内アテンドを個別にご案内する「オーダーメイドツアー」も、随時行っています。移住視察の際に使える補助金もありますので、まずはお気軽にご来市ください。釣りなどの趣味のご質問もお気軽にどうぞ。移住検討者の方の状況に合わせてサポートします!