【夫編】“昔ながら”と“効率重視”のはざまで。― 八幡浜で就農した私たちのリアル ―
じいちゃんから孫へ。変わりゆく農業のかたち
「昔と今では、農業もずいぶん変わったなぁ」
最近、主人とおじいちゃんのやり取りを見ていて、ふと思いました。
◆ 昔の農業は、まさに“体力勝負”
主人のおじいちゃんが若かった頃(…60年以上も前の頃でしょうか笑)
とにかく朝から晩まで山に出て、働きづめ。
地域に朝のチャイムが鳴れば、それが「出勤の合図」。
日曜もお盆も関係なく、畑に出るのが当たり前の時代だったそうです。
「休むなんて考えられない」
と笑いながら話すおじいちゃん。
でも、その言葉の裏には、家族のために汗を流してきた誇りがあるように感じます。
◆ 今の農業は、“計画的に・効率よく”
一方で、主人の農業スタイルはというと…「効率重視」。
無駄が嫌いで、「この作業、もっと楽にできるんじゃない?」と常に改善ポイントを探しています。
もちろん、楽できるなら楽したい(笑)
私たちも、楽をすることが悪いことだとは思っていません。
でもそれだけではありません。
じいちゃんも、いつまでも元気でいられるわけではない。
いつか自分ひとりになっても、作業がきちんと回る形にしておかなければいけない。
そして、もうすぐ生まれてくる子どもとの時間も、できるだけ確保したい。
効率を考えるのは、「楽するため」だけではなく、
長く続けるための工夫なのだと思います。
昔は手作業が当たり前だったことも、
今は機械や道具に頼る場面が増えました。
最近では、ドローンを使って農薬を散布する農家さんも出てきました。
ただ、ドローンですべてをまんべんなく散布できるわけではないため、
「効率はいいけれど、細かいところまでは難しい」という声もあります。
すべてを機械に任せられるわけではない。機械をどう使うか。
そこにも、それぞれの考え方が表れます。
このように、かんきつ栽培といっても、作業のやり方は1つではありません。
年間の作業については、こちらのページでも紹介されています。
◆ 家族でやるということ
家族で農業をするというのは、思っている以上にむずかしいものです。
主人が効率を考えて出した提案に、
おじいちゃんが首をかしげることもある。
逆に、おじいちゃんのやり方に、
主人がモヤッとすることもある。
そしてそれは、じいちゃんと孫の関係だけではなく、
私たち夫婦のあいだでも、実は同じことが起こります。
夫婦経営or家族経営だと、もちろん意見がぶつかることもあります。
ケンカがまったくないわけではありません。
でも、相手は取引先ではなく、家族。
正論で押し切ることもできるのかもしれないけれど、
それをしてしまうと、仕事だけでなく、関係までぎくしゃくしてしまう。
だから主人は、全部を変えようとはしません。
「ここは譲る」
「ここは自分のやり方でやる」
そんなふうに、少しずつ折り合いをつけながら続けています。
家族でやる農業は、効率だけでは測れない。
そこには、感情も、歴史も、積み重ねもあるのだと思います。
◆ 変わること、受け継がれること
じいちゃんから主人へ。そして、またその先へ。
やり方は変わっても、みかんづくりは続いていきます。
Iターン就農の人は、最初から自分の中に「これが正解」という軸がないことも多いと思います。
だからこそ、昔ながらのやり方と今のやり方のあいだで、戸惑う場面も出てくるはずです。
でも実は、Uターン就農である私たちも、最初は不安でした。
「本当にやっていけるのか」
「地域に受け入れてもらえるのか」
「収入は安定するのか」
そんなことを、何度も考えました。
IターンでもUターンでも、
新しいことに挑戦する以上、不安は必ずついてきます。
そして今は、気候そのものも変わってきています。
暑さの質も、雨の降り方も、昔とは違う。
その影響で、栽培の仕方も少しずつ変わってきています。
長年経験を積んできた農家さんでさえ、
「摘果(てきか)しすぎて、実が大きくなりすぎて売り物にならなかった」
なんてこともあるんです。
経験があっても、完璧にはいかない。
自然を相手にする仕事に、「絶対」はありません。
だからこそ、「最初から完璧である必要はない」のかもしれません。
昔のやり方から学ぶこともあれば、新しいやり方を試してみることもある。
農業は、毎年同じように見えて、実は毎年少しずつ違います。
だからこそ、揺れながらでも、学びながらでもいい。
農業は、決して楽な仕事ではありません。
でも、自分たちの暮らしを自分たちでつくっていくことができる仕事でもあります。
もし今、農業に少しでも興味があったり、「やってみたい」という気持ちがあるなら、
完璧な準備ができていなくても大丈夫。
揺れながらでも、学びながらでもいいので、まずは一歩を踏み出してみませんか?
もし八幡浜で柑橘農家に興味がある方は、研修制度などを利用して就農する道もあります。
実際にどんなステップがあるのかは、
こちらの記事でも紹介しています▶ みかん農家になるまでのステップ
◆ 次回はいよいよ最終回
「地方移住って、ほんとうにやっていけるのか?」
きれいごとではない、わが家なりの答えを書いてみたいと思います。
❁八幡浜市地域おこし協力隊 移住支援員❁
2023年4月に着任。結婚を機に八幡浜に移住してきました。
人の温かさに触れながら、スローライフを送っています。
新鮮な魚とおいしいみかんが食べれる町。それが八幡浜。来て見て食べてみてください。
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ぜひご覧ください♪
